センター長挨拶

現代世界は、戦争やテロ、殺人・虐待・自殺、先進科学技術の応用と安全性、環境破壊といった現実に取り囲まれている。この時代に求められているのは、孤立する人間が、あらゆる人間や自然の生命と相互に依存しあいながら成長していることに気づき、いのちの絆を再構築することである。そこで「仏教生命観に基づく人間科学の総合研究」では、生命観を客観的に解明するにとどまらず、「人間存在の本質と真実の在り方」を仏教思想と自然科学、宗教学、臨床心理学、社会福祉学、国際文化学が共同して解明する。

こうした研究を継続する意義は、仏教生命観のうちで特に人間観、共生観に注目し、研究と教育の両面から、希薄化した人間関係を見直し、一人ひとりの人間性を調熟し、人間と人間、人間と自然とのいのちの絆を具体的に再構築していくところにある。そのために、第一に、人間は生物の仲間であることを前提に、すべての生命を基盤にした知の再構築をすることが求められる。第二に、およそ2500年の長い歴史において培われた仏教の人間観を再評価し、固定的な執着・対立を超えた、寛容な人間像を樹立することが求められるだろう。



人間・科学・宗教 オープン・リサーチ・センター
センター長 鍋島直樹