研究叢書

新しいものから順に並んでいます。
なお、所属・役職及び名称・表現等については当時のものです。


龍谷大学 人間・科学・宗教 オープン・リサーチ・センター
研究叢書 第8巻
「心の病と宗教性 深い傾聴」
海野マーク・岡田康伸・倉光修・鍋島直樹編
(概要)
誰にも言いようのない悩みを抱えた時、人は何を願うだろうか。心悩める人は、精緻に分析され病気を診断されることよりも、そばにいてくれる相手に深い心の絆を求めている。「隻手の音声」「アウシュビッツにおける深い傾聴」「親鸞における海のメタファー」などの論文は、深い傾聴と宗教性の意義を明かしている。本書は、人間の苦悩とその救いへの道筋について、日米の心理療法と仏教の研究者とが力を合わせて探究したものである。

出版記念対談
出版記念対談 リーフレット
龍谷大学 人間・科学・宗教 オープン・リサーチ・センター
研究叢書 第7巻
「仏教と生命倫理の架け橋」
鍋島直樹 井上善幸 M・エッケル編
龍谷大学 人間・科学・宗教 オープン・リサーチ・センター 研究叢書 第7巻 「仏教と生命倫理の架け橋」 鍋島直樹 井上善幸 M・エッケル編 (概要)
新しい生命操作の技術が進展する時代にあって、人はその技術をどのように用いれば、いのちの尊さを守ることになるのかわからなくなっています。二十一世紀の現代世界は、アモラル、無倫理の時代といってもいいでしょう。そういう時代だからこそ、今を生きる私たちが、仏教の真理、また、世界のそれぞれの宗教的な真理に照らして、命の尊さを守る道について真摯に悩み考えつづけることが大切なのではないでしょうか。
本書では、第一部において、仏教研究者のマルコム・デイヴィッド・エッケル教授とキリスト教神学者のジェイムズ・ウォルター博士の論文を収録しました。マルコム・デイヴィッド・エッケル教授の講演で感銘を受けたことは、智慧と慈悲という視座から仏教の生命倫理を提唱されたことです。智慧の姿勢とは、何かに偏った見方に縛られず、中道の精神に基づくことであり、究極的な真諦、すなわち、縁起や空によりながら、一人ひとりがその真理の宝石に照らされて、自らにふさわしい答えを見出していくことにあるというものです。慈悲の姿勢とは、よりよい未来を予測し、相互の縁が育つように、生命操作のあり方を選択しつつ、最終的には、「分析しなくても十分な状態」で、患者のそばに、黙って寄り添うことであるというものです。分析や解釈をしすぎるあまり、相手も自分も見失ってしまうのが、私たちの現実です。その意味でも、この「分析のいらない慈悲」という姿勢は、仏教の生命倫理において不可欠なものであるといえるでしょう。ジェイムズ・ウォルター博士は、キリスト教神学者であるとともに、アメリカの病院におけるパストラルケアに携わり、さまざまな患者の苦悩を和らげています。ジェイムズ・ウォルター教授によると、キリスト教の神学にも、さまざまな解釈があり、人の生命は、創造主なる神によって造られた神聖なものであるから、特に受精卵や胚となどの生命の萌芽に、人為を一切加えてはならないとする立場もあれば、人間が神とともに、共同の創造者(co-creator)となって、よりよい未来のために生命操作に関与してもよいという立場もあるといいます。キリスト教神学自身も、時代の求めに応じて進展する可能性があるということでしょう。
第二部では、アジアにおける仏教と生命倫理について見つめ、スタンフォード大学のロナルド・仲宗根教授やタイのマヒドール大学のピニット・ラタナクル教授、ピタック・チャイチャルーン教授の講演とレスポンデントを収録しています。ロナルド・仲宗根教授は、仏教の縁起の視座が、一つの固定的な倫理や答申に縛られずに、想像力と創造性を生み出すことができると論じています。また、ピニット・ラタナクル教授は、エール大学を卒業後、タイ王室に手厚い保護を受けながら、タイの医療の在り方について、仏教学者の立場から研究を進めてきた方であり、ピタック・チャイチャルーン教授はそのよき研究仲間です。
第三部では、生命倫理におけるプライバシーの課題について、龍谷大学法科大学院の石塚伸一教授が法学と倫理学の角度から考察しています。その論文では、生命倫理がめざしてきたものが最初にわかりやすく論じられています。そして、「未来の日記(future diary)」に譬えられる遺伝子情報をどのように扱うことが、プライバシーや人類自身を尊重することにつながるのかについて焦点を当てています。正まき子氏は、阪神淡路大震災を経験したことが縁となって、神戸にある「人と防災未来センターひと未来館」のインストラクターとして従事し、数多くの来館者に、その防災と命の尊さを伝えてきました。正まき子氏の論文は、人間の在り方、生命への在り方を、地震、地球、ブナの森という広大な視点から考えさせてくれることでしょう。
第四部では、一つは、龍谷大学の鍋島直樹が、真宗学の角度から、縁起思想に基づく生命倫理学をまとめています。かけがえのないいのちを大切に思う、その正解は一つではない。それぞれの縁と努力によって、その人にふさわしい答えを見出していく以外にはない。それが、この論からのメッセージです。もう一つは、龍谷大学の井上善幸准教授が、真宗学の立場から、親鸞の慈悲理解の背景について深く考察しています。親鸞は、私たち人間のなす行いが「雑毒雑種の善」であると語りました。それではなぜ、親鸞は人間の慈悲や善行を否定的に表現したのでしょうか。その背景には、どういう意味があるのでしょうか。無明煩悩の深い私たちがどのように生きていったらいいのかについて、この井上論文が示してくれています。
以上の研究論文を通して、読者の皆様が、かけがえのない生命を守る鍵を見つけていただければ、何より幸甚です。

原石のごとく、
比べようのない輝きを有すあらゆるいのち。
それらいのちは相互に照らしあって、
自己を知り、より深い輝きを放つ。

(鍋島直樹)

目次

はじめに  鍋島直樹
Ⅰ 智慧と慈悲-仏教とキリスト教からの生命倫理
Compassion and Wisdom: Buddhist and Christian Reflection on the Fundamental Problems of Bioethics
    Malcom D. Eckel
智慧と慈悲-生命倫理の基本的課題に関するキリスト教と仏教の洞察
    マルコム D. エッケル
A Christian Interpretation of Contemporary Issues in Bioethics: The Human Genome Project and The Forgoing/ Withdrawal of Medical Treatment at the End of Life
    James J. Walter
生命倫理における現代の問題とキリスト教者の解釈
    ジェイムズ J. ウォルター
Ⅰ 仏教と生命倫理-創と想
仏教と生命倫理-創と想
    鍋島直樹
Bioethics in Thailand: Buddhist Perspectives
    Pinit Ratanakul
タイにおける生命倫理-仏教の見地から
    ピニット・ラタナクル
    (A Response 1)Bioethics in Thailand: Buddhist Perspectives
        R. Y. Nakasone
    (回答1)「タイにおける生命倫理-仏教の見地から」に対する回答
        ロナルド・仲宗根
    (A Response 2)Bioethics and Papaya
        Pitak Chaicharuen
    (回答2)生命倫理とパパイヤ
        ピタック・チャイチャルーン
Buddhist Thinking for the New Millennium: Imagination and Creativity
(新しい世紀のための仏教徒の思惟法-想像力と創造性)
    R. Y. Nakasone(ロナルド・仲宗根)
    (A Response)Buddhism and Bioethics
        Pinit Ratanakul
    (回答)仏教と生命倫理
        ピニット・ラタナクル
Ⅲ 生命倫理と法と世界
生命倫理とプライヴァシー(私事)-遺伝子情報と「未来の日記」
    石塚伸一
ブナの森で未来を考える-震災から未来への架け橋
    正まき子
Ⅳ 浄土教と生命倫理-いのちへのまなざし
縁起の生命倫理学-智慧と慈悲
    鍋島直樹
親鸞の慈悲理解の背景について
    井上善幸
おわりに  井上善幸
索引

龍谷大学 人間・科学・宗教 オープン・リサーチ・センター
研究叢書 第6巻
「共生する世界-仏教と環境-」
嵩満也(UNIT4)編
目次

はじめに  嵩満也
環境について考える
ユーラシアにおける里山的環境利用  阪本寧男
  -私のフィールドワークの旅での見聞
地球温暖化の証拠と日本で現れている動植物への影響  増田啓子
仏教と環境
ディープ・エコロジーの思想と宗教の自己変革  嵩満也
  -「仏教共生学」の構築に向けて
地球環境社会における仏教の可能性  能仁正顕
  -仏典からのメッセージ
共生思想と仏教環境保全へ  武田晋
  -真宗的一視座より
仏教とは環境思想たりうるか
仏教は環境課題について積極的でありうるのか  本多真
  -仏教のスパイラルと反スパイラル
近代科学と伝統的自然観  松居竜五
  -那須生態調査・神社合祀反対運動期の南方熊楠の思想展開
公開研究会1「宗教と環境-キリスト者から仏教者への提言」
  宗教と環境  ルベン・アビト
    -キリスト者から仏教者への提言
  討論
公開研究会2「南方熊楠と中央アジア」
  日本仏教界の入蔵熱  奥山直司
  大谷探検隊と南方熊楠  上山大峻
  討論
関連文献  仏教と環境
索引

龍谷大学 人間・科学・宗教 オープン・リサーチ・センター
研究叢書 第5巻
「現代に生きる仏教社会福祉」
長上深雪(UNIT3)編
目次
はじめに  長上深雪
Ⅰ 仏教思想に学ぶ
いのちはなぜ尊いか-福祉の原点を問う-  上山大峻
仏教と社会福祉-老いと心の安らぎ-  ロナルド・仲宗根
仏教からみた老いと死:懺悔と心の救い  篁俊男
  -医療・仏教・福祉のはざまで考える-
仏教における縁起と生命観  嵩満也
Ⅱ 仏教社会福祉論の確立を目指して
仏教社会福祉における仏教思想の必要性  長崎陽子
仏教社会福祉実践の現代的課題  長上深雪
仏教社会福祉とキリスト教社会福祉の比較研究  西川淑子
仏教カウンセリング-その回顧と展望-  寺川幽芳
仏教社会福祉学研究の動向と実践課題再考  中垣昌美
Ⅲ 実践に学ぶ
仏教社会福祉の地域福祉活動への参加と社会的貢献  中垣昌美
東大寺整肢園について  長崎陽子
仏教系社会福祉施設の現状と仏教社会福祉実践の思想的基盤  船本淑恵
  -浄土真宗本願寺派社会福祉施設実態調査報告(概要)-
Ⅳ 関連主要文献
索引

龍谷大学 人間・科学・宗教 オープン・リサーチ・センター
研究叢書 第4巻
「死と愛:いのちへの深い理解を求めて」
鍋島直樹(UNIT2)編
目次
はじめに  鍋島直樹
人生の終末-人間の成長とスピリチュアリティ
ビハーラケアとは-終末期看護で学ぶもの  種村健二朗
臨床からみたスピリチュアリティ-ひとの痛みに寄り添うために
宗教とスピリチュアリティ-証人としてのチャプレン  伊藤高章
ビハーラ僧の経験より-人の苦しみに寄り添う姿勢を考える  谷山洋三
自殺と文化
自殺と文化-その関連  布施豊正
仏教と心理療法の境界線(ボストン国際会議)
仏教と心理療法の接点  鍋島直樹
内観療法と浄土真宗  海野大徹
仏教と心理療法の境界線  海野マーク
心理療法と仏教-砂に注目して  岡田康伸
日本における仏教と心理療法-「超越」と「世俗」を巡って  垂谷茂弘
浄土教における死と慈愛-ビハーラの意義
宗教とカウンセリングにおける「自分探し」のあり方について  友久久雄
親鸞の来迎観  浅井成海
親鸞の往生思想  内藤知康
親鸞思想における「常行大悲」の意味  玉木興慈
死と慈愛-源信・法然・親鸞における死の超克  鍋島直樹
スピリチュアルな苦しみとビハーラケア  打本未来
受容こそが力になる-HIV・AIDSをめぐって  枝木美香
ビハーラ関連文献
索引

龍谷大学 人間・科学・宗教 オープン・リサーチ・センター
研究叢書 第3巻
「宗教者と科学者の対話-媒介する「新しい哲学」を求めて-」
武田龍精(UNIT1)編
目次
はじめに
現在の状況
今、なぜ宗教者と科学者との対話が要請されるのか  武田龍精
研究論文
宗教と科学を媒介する「新しい哲学」を求めて  武田龍精
    -西田幾多郎・A.N.ホワイトヘッド・田辺元・西谷啓治の哲学を視座として
宗教と科学、仏教と科学  髙田信良
    -何が問われているのか
プロセス・コスモロジーからみた宗教と科学  田中裕
新幹線車軸の疲労寿命と仏教生命観  中村宏
    -科学的知見と仏教の接点
触媒化学から見た生命観  原田忠夫
    -科学的知見と仏教の接点を考える
科学-宗教課程教育学における差異の重要性  Nancy R. Howell
The Interaction of Science and Religion: Mutual Enrichment or Mutual Antagonism, Darwin's Concept of Evolution and Notion of Intelligent Design
    Shunji Yokota
Fruitfull Interaction between Scientific Cosmology and Christian Theology
    Robert John Russell
公開講座 宗教者と科学者の対話
再生の医学・生物学の時代  開祐司
アニマルテクノロジーの挑戦  佐藤英明
    -フロンティア科学の責任と悩み
分子が「かたち」を認識する  原田忠夫
仏教と自然科学  John B. Cobb, Jr.
    -キリスト教神学者の視点から
自然科学に対する真宗教学のアプローチをめぐって  ケネス田中
    -浄土・阿弥陀と物理学・生物学
仏教と科学について  上山大峻
    -現代仏教の諸問題
科学の限界と阿頼耶識  中村宏
宗教対話を越えて、どこへ  横田俊二
宗教心理学と仏教  海野マーク
    -東西をめぐる論点
関連文献
索引

龍谷大学 人間・科学・宗教 オープン・リサーチ・センター
研究叢書 第2巻
「仏教生命観の流れ-縁起と慈悲」
鍋島直樹(UNIT2)・長上深雪(UNIT3)・嵩満也(UNIT4)編
目次
はじめに  鍋島直樹  長上深雪  嵩満也
死を生きる道
親鸞における死を生きる道  信楽峻麿
Shinran's Path of Birth beyond Life and Death
仏教生命観の流れ
無縁の慈悲  若原雄昭
Compassion without Object Four Immeasurables(catur-apramana) in Mahayana Buddhism
華厳教学における縁起説の意義  藤丸要
The Significances of Dharmas of Independence in Huayen Buddhism
中国浄土教における他力思想  殿内恒
The Thought of the Other Power in Chinese Pure Land Buddhism
日本唯識における縁起的生命観  楠淳證
Buddhist Life Perspectives through Independence in Japanese Vijnapti-matrata
親鸞思想にみる生命への視座
-浄土教における仏教生命観の展開  鍋島直樹
Shinran's Perspective's of Life: Pure Land Buddhist Life Perspectives
仏教生命観の世界的意義
生命とは何か
-宗教と科学の二つのパースペクティブ  武田龍精
What is Life? Twofold Perspective(s): Religious-Scientific
仏教生命観と仏教社会福祉  長上深雪
Buddhist Life Perspectives and Buddhist Social Welfare
仏教生命観と環境思想  嵩満也
The Buddhist View of Life and the Environmental Thought
索引

龍谷大学 人間・科学・宗教 オープン・リサーチ・センター
研究叢書 第1巻
「仏教生命観からみたいのち」
武田龍精(UNIT1)編
目次
はじめに  武田龍精
人間・科学・宗教 オープン・リサーチ・センターの願い
センター設置のコンセプト  Foundation Concepts
共同研究体制  Joint Research System
研究内容  Research Content
    総括ユニット 「仏教生命観-縁起説の意義」
    基礎研究 「人間・科学・宗教の総合研究」 武田龍精
    応用研究1. 「仏教と生命倫理」 鍋島直樹
    応用研究2. 「仏教社会福祉」 長上深雪
    応用研究3. 「仏教と環境」 嵩満也
期待される効果・社会への貢献  Objective and Relevance
研究プロジェクト共同研究者
センター創立記念シンポジウム 「仏教生命観からみたいのち」
開会のあいさつ    上山大峻  大谷光真  武田龍精
第1部:記念講演「生命誌から見た“いのち”」  中村桂子
第2部:パネルディスカッション「“いのち”の尊さを次世代に語る」
    武田龍精  中村桂子  上山大峻  生駒孝彰
開会のあいさつ    御前進
パドマ竣工記念講演
「縁起に基づく仏教生命観-転変する中心と曖昧性」
Buddhist Thought of the New Millennium: The Structure and Relevance of Buddhist Thinking
(新世紀の仏教思想:仏教の思惟方法の構造と重要性    ロナルド・仲宗根)
研究論文
浄土仏教の生命観と倫理-妙好人の生命観・倫理観を中心として    菊藤明道
仏教生命観の特質-縁起思想の意義    鍋島直樹
関連文献
仏教生命観に関する研究書・論文目録    井上善幸
おわりに  鍋島直樹
索引